第3回 喜望峰はアフリカ大陸の最南端か?

2008/12/21

「ぢぢばば混載乗合船」「寮付きカルチャースクール」の飛鳥は赤道を越え、日本との時差が7時間になりました。
 その後、インド洋を西進し、モルジブ、セイシェル、モンバサに寄港し、今、アフリカ大陸とマダカスカル島の間、モザンビーク海峡を南進中.次は南アフリカのダーバンに寄港します。

■赤道無風帯‥‥海面が全く鏡のごとく平滑になり、雲がくっきりと映り、船が進むにつれて起す大きなうねりのみとなります.帆船時代の船乗り達が恐れたのがよくわかりました。

■影の無い時間‥‥今日、正午、太陽が真上に来るので、影が全く無くなるとのことでしたが、やはり真下に小さな影はありました。北回帰線より北側に住む我々には、日常体験できません。

■海賊対策‥‥今時、「海賊」なんてあるんですね。海賊出没マップなるものがあり、フィリピン〜シンガポール間、そして、アフリカ東海岸一帯が危ないそうで、夜間、警戒態勢として、舷側に照明灯を持ち出して照らしながら走り、警備員が巡回していますが、本当に来てしまったらどのような応戦をするのでしょうね。

■モルジブ‥‥環礁の小さな島々、標高最大2m。その一つの無人島でシュノーケリングをし、無数の色や柄がとりどりの熱帯魚に取り囲まれ、指や足を突ついてくる可愛いさ美しさに感激。

■マサイマラ動物保護区‥‥モンバサから奥地に向かってプロペラ機で約2時間半.面積は大阪府ぐらいの、多少の起伏のある大草原。サファリーカー(客6人乗り、天井に穴が空いていて立ち上がれば 首が出て観測ができる。ニッサン、トヨタのランドクルーザー)で、草原の道無き道を走り回って、ドライバーが動物の居そうな所へ連れて行く。朝夕2時間ず つ4回のツアーで見ることの出来た野生動物は、ライオン、ゾウ、キリン、シマウマ、チータ、カバ、ワニ、ヒヒ、ダチョウ等を含め二十数種類。見れなかった のは、ヒョウ、サイです。ホテル(ロッジ)がその保護区の中にあって野生動物からは電流の流れたフェンスで守られており、デザインは、マサイ族の住居をモチーフでまとめられ、自然を生かしたレイアウト。従業員のマナーを含めて中々のものでした。

■飛魚‥‥船の進行により、かき分けて行く波間から飛魚が飛び出てきて、薄い羽をピンと張って驚くほどの滞空時間です。80mは飛ぶそうです。初めは大騒ぎしていた船客達も、今は誰も見向きもしなくなってしまいました。イルカの群れも見えました。

■南十字星‥‥昨晩、初めて星の講座が最上部甲板でありました。出航以来初めて、夜、雲が切れ、月も出ず、船外のランプを全部消した瞬間、真っ黒の空に無数の星が輝き、銀河が流れ、南十字星もはっきりと見え、感動的な瞬間でした。アフリカ最南端ケープタウンを出て2日、大西洋をほぼ真西に、南緯34度線に沿って、アルゼンチンのブエノスアイレスに向かっています。日本との時差は9時間になりました。8日間陸を見ない日が続きます。
 昨日、子午線(東経0度、西経0度)を通過、あと4日で、日本の丁度反対側に達します。船長の話しでは、これだけまとまった日本人の集団がこの海域を通るのは、移民船以来とのことです。

■ヴィクトリアフォールズ‥‥南アフリカのダーバンに寄港して、飛行機で、ジンバブエのヴィクトリアフォールズヘ。世界三大瀑布の一つなのですが、幅1700m、落差最大108mという規模の全貌を見るポイントが殆ど無くて、期待はずれ。しかし、ジンバブエの人たちの穏やかな性格と礼儀正しさに好感が持てました。ホテルもなかなかのものがあります。

■ケープタウン・喜望峰‥‥ヴィクトリアフォールズから、空路ケープタウンに入ったので、残念ながら海上から喜望峰を見ることは出来ませんでした。
  私の勝手な誤解で、喜望峰がアフリカ最南端でケープタウンは南に向けた湾にある港だと思っていたら、さにあらず。アフリカ最南端は、喜望峰の東南150キロメートルのアガラス岬で、ケープ半島はその西の大西洋に、70キロメートル小指のように突き出た半島で、その先端をケープポイントといい、ケープタウンから車で約2時間です。ケープポイントに立って、はるばる来たものだと思いました。そしてケープタウンは大西洋に西向きに口を開けた湾に、背景に、1067mのテーブルマウンテンが聳え立つユニークな近代都市です。世界で初めての心臓移植が行われた病院というのも、ガイドの説明で「ああそう云えば」 と思い出しました。テーブルマウンテンに登った日は快晴無風恵まれ、ラッキーでした。中腹から頂上まで約5分で、その間に丁度360度床が回転する65人乗りのユニークなロープウェイです。ケープタウン側から見るとナイフで切り取ったような頂上は、実はかなりの凹凸があり、平らに歩ける木造の遊歩道が整備されていました。頂上からの眺めは素晴らしかったです。

■ワイナリー‥‥ケープタウンから東に車で40分ほどのステレンボッシュという街を中心に、南アフリカワインの産地があり、葡萄畑が広がっていて幾つかのワイナリーがあります。最近南アフリカワインが世界的に認められて輸出も伸びているということですが、歴史はかなり古いそうです。そもそもケープタウンは、オランダの東インド会社のアジア貿易の拠点、物資の補給基地として栄えたのでそういう需要からも、ワインが古くから作られていたのでしょう。そのワイナリーや、小さな街ながら、商店や住宅等の建物がなんとも愛らしく美しいのです。白いデコラティブな妻壁に挟まれた急勾配の屋根は、こげ茶色の藁葺きで柔らかなカーブを用い、周囲の木々とよくマッチしています。藁葺き屋根の耐久性は、雨量が少ないので数十年、半永久的。防火上は、地形により落雷がないとのことでした。

今まで奇跡的に平穏だった海が、大西洋に入ってやや揺れが大きくなっています。天候も今日は神戸以来初めての終日の雨です。次のお便りは、南米からです。では、また。