第42回 柿生駅~ブルーベリー園 さるだべりー~五月台駅を歩こう!!
2008/06/021. 柿生駅
2. 麻生川
3. 熊野堰跡
4. 片平中町遺跡公園
5. 遊歩道
6. ブルーベリー園 さるだべりー
7. 草木工房
8. 五月台駅
おさんぽ記
ぐずぐずとした天候が続く日々、よしっと降り立ったのは小田急線柿生駅(1)。北口を出ると空は今にも泣き出しそうで、ほんの少しでも刺激しようものなら、ざーっと雨が降り落ちてきそうです。カバンの中の折りたたみ傘を確認し、やや急ぎ足でおさんぽ出発!
麻生川(2)のフェンスに「あさお川健康づくりの小径」と書かれたパネル。柿生新橋から川沿いを小田急多摩線近くの山口橋まで歩いた後、橋を渡って今度は反対側の川沿いを戻ってくる1周約1.6kmのウォーキングコースが案内されています。
そして、赤い文字で「体重50kgの人がゆっくり1周すると消費カロリーは約50キロカロリー(食パン6枚切約1/3枚に相当)」との添え書き。食パン1 枚食べたら3周かあ……(?)。と、川をぼーっと見つめていたら、「コイもたくさんいるけど、ナマズもいるんだよ」と近所の男性。「ほらね」と指さした先に、ちょびヒゲの黒いナマズが2匹、コイにまじって泳いでいました。
「開発のために森林が伐採されて、地面がアスファルトで塗り固められたでしょ。雨が降ると川の水かさが一気に増えるようになったんだよね。以前は地中にちゃんと染みこんで、そう変化することはなかったんだけどね」。う〜ん、近ごろの気象にもよるでしょうが、気になる話です。
津久井道を横断し、おさんぽ通信 第23回柿生駅〜五月台駅を歩こう!でお弁当を買った「おむすびカフェ さんぽ」を通過。柿生小学校の校門前で麻生川と再会します。ここで麻生川は片平川と合流し、柿生駅の南の方へ。そこで今度は片平川に沿って歩き始め、すぐに熊野堰跡(3)と刻まれた碑を見つけます。
片平という地名は「片方は丘が迫り、もう一方は平坦で水田が広がっていた」ことに由来するといわれています。田に水を引くために設けられた堰の跡に平成元年、「片平老人クラブ」が句碑を建立。それらは片平川周辺の7ヶ所にあり、これはそのひとつ。柿生小学校へ目を移すと、「このグラウンドは大雨の時、雨水を一時貯水して、少しずつ流す大切な役目をします」と説明板。川沿いには昔も今も“ならでは”の設備があるのです。
片平橋を左折して眺めた住宅地案内地図に片平中町遺跡公園(4)の文字。公園内80段の階段を上った高台に縄文時代早期〜中期の集落跡で発掘された「敷石住居址」が保存されています。息を切らしながら着いたところにはベンチが1台。振り向くと眼下に住宅地の街並みが広がり、なんという眺め! それではベンチに座ってひと休みと思ったら、ぽつりぽつりと雨が降ってきました。
道路脇のブロックで仕切られた水溜まりに足を止めます。パイプから流れ出ている透明な水はきらきらと輝いていて、湧水かな? 底にはぷくぷくとした茶色いものが沈殿しています。そういえば、片平川の流れにも一部、茶色になっているところがあったなあと再び片平川沿いへ。遊歩道(5)から片平中村通公園に入り、おっ、ここにも調整池がある、と見ます。
「このへんの地下2メートルくらいから湧き出している水は鉄分を含んでいるんでしょうね、茶色いんです」と教えてくれたのは、ブルーベリー園 さるだべりー(6)の長瀬さん。「もっと深い井戸の水は茶色くないんですけどね」。長瀬さんの家は30〜40年前までは米作りをしていて、ブルーベリーは10年前から作り始めたそうです。「雨が降るとブルーベリーは水分をたくさん吸収し、甘みや酸味が薄まります。水分が少ないほうが濃く感じられますよ」。
ブルーベリー園から坂を下って、次にお邪魔したのは草木工房(7)。染色家・山崎和樹氏が草木染の研究や作品を制作している場で、講習会も開催されています。「染料には庭に生えている藍やよもぎの葉、桜の落ち葉なども使うんですよ」と山崎氏の奥さま。「藍染めの場合、布や糸を染料液に浸して絞っては空気にさらすという作業を繰り返していくうちに、色が変わっていくんです。青でも何種類もの青が生まれるんですよ」「同じ染料を使ってもその時季によって色が違ってきますし、染料を重ねる際でも先にどれを使うかによって変わってきます」。
おさんぽクローズアップ!!
「ブルーベリー園 さるだべりー」
開園日にブルーベリー摘みを楽しめ、摘んだものは100g250円でお持ち帰り可。予約不要で気軽に立ち寄れます。
ブルーベリーの品種は細かく分けると400種以上に及ぶといい、そのなかの100種以上を栽培。実が大きいハイブッシュ、ラビットアイ、野生品種のワイルドベリーなど、食べるのはもちろん、樹高が高いの低いの、実が大きいの小さいの、葉の形もいろいろで観察してもおもしろそうです。
甘酸っぱさが口いっぱいに弾け、アイスクリームやヨーグルトなどにたっぷり入れて食べたくなります。
■ 090-4051-9118
■ 川崎市麻生区片平1989
■ 平成20年の開園予定日は6月11日〜6月29日の水・土・日曜、7月2日〜29日の水・土曜
■ 開園時間は10時〜12時、13時〜15時
「草木工房(草木染研究所柿生工房)」
染色工芸家の山崎和樹氏が主宰。
草木染の講習会は、基礎講座として「糸染基礎クラス」「布染基礎クラス」があり、月1回2年間受講すると修了。基礎講座の修了者は応用講座を受けられます。毎年4月開講。
また、朝日カルチャーセンターの「はじめての草木染・柿生」の基礎コースが毎月1回、開講。毎回違う植物染料でストール染めなどに挑戦できます。
工房内の庭には山崎氏の祖父で文人の斌(あきら)氏の句碑が立つほか、親交のあった若山牧水の句碑も見つけられます。
■ 044-988-7817
■ 川崎市麻生区片平4-15-1
「はじめての草木染・柿生」基礎コースのお問合わせ先
朝日カルチャーセンター事業部
■ 03-3344-2041
※ 平成20年(2008)6月2日にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
取材・文/森田奈央
森田奈央
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。