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おさんぽ通信

    第38回 多摩区役所~二ヶ領本川~生田浄水場を歩こう!

    2008/01/12
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    1. 多摩区役所
    2. 丸山教本庁
    3. 吉葉屋酒店
    4. 二ヶ領本川
    5. お地蔵さま

    6. お稲荷さん
    7. 不動明王堂
    8. ナシ畑
    9. 生田浄水場


    おさんぽ記

    小田急線向ヶ丘遊園駅北口から徒歩5分にある多摩区役所(1)。吹き抜けが気持ちいい1階のアトリウムには水槽が2つ置かれ、きらきらと輝く水の中をシマ ドジョウ、ニホンバラタナゴ、ギバチ、ニゴイなどが泳いでいます。これらは多摩川でよく見られる川魚。お母さんに手を引かれた子どもが額をぴたりとガラス に押し付け、食い入るように眺めています。

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    津久井道を横断して1本の道に入っていくと、右側に丸山教(2)と書かれた大きな門が見えてきました。おさんぽ通信 第17回向ヶ丘遊園駅〜東生田緑地を 歩こう!で、民衆宗教「丸山教」のことを知りましたが、今も活動が続けられている本庁がこちら。境内には親交のあった北原白秋が作詞した「多摩川音頭」の 詩碑が立てられています。

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    あれ? と思ったのは、道の左側をゆく歩道。約1メートル幅のコンクリート板が並べられ、車道との間に10センチほどの段差があります。歩いていくと板に よってはコンコンコンと音が鳴って、まるで木琴のよう。鉄の格子板がはめられている箇所から下に水が流れているのが見え、用水路をコンクリート板で蓋をし たものだと確認できます。

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    少し歩いた左側に、大きなビール缶のオブジェがある酒店。なにげなくのぞいた店の中に樽がいくつも並んでいます。あの中には何が入っているのだ ろう?と店内へ。吉葉屋酒店(3)のご主人と奥さんが「生産者直送の玄米です。1kg単位で量り売りし、この場ですぐに精米してお渡ししています」と教え てくれました。

    次々とお客さんがお米を買いに来る間をぬって、用水路について質問。「お店の前を流れているのは二ヶ領用水から枝分かれしてきた農業用水路です。以前、このあたりは多摩川梨のナシ畑がずっと広がっていたんですよ」。

    一軒家やマンションが並ぶ道を行き、二ヶ領本川(4)に突きあたります。道に沿って等間隔に並んでいるのはサクラの木。春になったら階段を下りたところに続く川べりの遊歩道に花吹雪が舞い降りて、おさんぽによさそうです。

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    府中街道まで進むとその角に、あ、お地蔵さま(5)。この先の菅地区には江戸時代に造られた「菅の六地蔵」が点々と奉られているなど、府中街道沿いではよくお地蔵さまを見かけます。屋根のあるお堂で大切に守られている様子を見ると、心がほぉ〜っと温まります。

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    府中街道を渡った路地の奥に、今度は赤い鳥居を見つけます。階段の上にお堂が見えないので上るのをためらっていたら、近所の人が「お参りしていきなさい よ。上ってすぐ右側の木の陰にお稲荷さん(6)があるから」。鬱蒼とした竹林に囲まれて、風が吹くたびに頭上から降ってくる竹のぶつかり合う音。いちいち 肩が、びくっびくっ……と、繰り返し上下してしまいます。

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    住宅街を歩いていくと、 あちらこちらに“用水路の歩道”。なかには家と家の間をぬうように伸びていくものもあります。昔は田畑の横を流れていたんだろうなあと思い描きながら着い た先は明王不動尊(7)。石柱の隣にはまたまた、お堂に守られたお地蔵さま。杖をついたおばあちゃんが立ち止まって、一礼していきます。

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    ちょきんちょきんとハサミの音に吸い寄せられて、ナシ畑(8)とようやくご対面。きこきこきことノコギリの音も響き渡り、ご夫婦がナシの枝の剪定中です。

    別のナシ畑ではヘラのような道具で幹をこすっている作業着姿の男性。「幹の皮についているカスを剥がす作業をしているんだ。この作業が終わったら剪定して、肥料をまいて。そのうち芽が出て4月には花が咲くよ」。

    今も残る昔からの風景と出会いながら、たどり着いたのは生田浄水場(9)の北門。振り返ってみると、なにやら“水”に縁があったおさんぽ。栽培面積は減っ てしまったものの、水の恩恵をたっぷり受けて育つ、みずみずしい多摩川梨。真っ白なナシの花が咲くのは、あともう少しです。

    おさんぽクローズアップ!!

    「吉葉屋(よしばや)酒店」

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    「くらしの里ネットワーク」による玄米の量り売り精米システムの加盟店として、生産者直送の玄米を揃えています。

    生産者の顔と栽培方法を公開し、販売しているお米は、農薬を極限まで減らした安心・安全なもの。生産者直送なので混ぜ米もありません。

    お米は精米すると約2週間で酸化するため、2週間で食べきれる量を買うことをすすめており、1kgからの量り売りが可能。

    お米の栄養価にこだわる人は、3分、5分、7分、白米とつき方も選べます。

    精米はもちろん無料。会員割引などの特典もあります。玄米1kg 370円〜。

    ■ 044-900-0127

    ■ 川崎市多摩区登戸1525

    ■ 9時〜21時

    ■ 木曜休

      ※ 平成20年(2008)1月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。