第33回 向ヶ丘遊園駅~安立寺~長者穴横穴古墳群を歩こう!
2007/08/201. 向ヶ丘遊園駅
2. 浅間神社
3. 水路
4. 龍安寺
5. 安立寺
6. 長森稲荷
7. 長者穴横穴古墳群
8. きもの蔵屋
おさんぽ記
小田急線向ヶ丘遊園駅(1)南口の改札を出て、まず目についたのは生田緑地内「ばら苑」のお知らせ看板。「秋の開花時には公開を予定しています」の文字を 見て、また秋のお楽しみがやってくるなぁとわくわくします(ばら苑の秋の一般開放は10月下旬頃。問合わせ:生田緑地内ばら苑 044-978-5270)。
生田緑地やばら苑への案内図を眺めて、さぁ出発。1つめの交差点の歩道に設けられたスペースに先ほどと同じ案内図とベンチが数台置かれています。杖を持ったおばあちゃんが腰を掛けてひと休み。生田緑地やばら苑に訪れる人、散歩の人にも、とても役に立っているようです。
お店の内外に鍵をいっぱいぶら下げた鍵店の角を左折。手持ちの地図では「玉川製紙」と書かれている土地にショベルカーが入り、ウーウー唸りなが ら土を掘っています。そこからすぐのところに浅間神社(2)。由来を記したものがなかったのですが、地図に「富士塚浅間神社」と表示されています。江戸時 代に流行した富士山を信仰する「富士信仰」に基づき、富士山を模した富士塚を造って祀ったものです。
通りから少し入った高いフェンスの中を水路が流れています。なにげなくのぞき込むと、真っ赤なザリガニ。おおっ? と見れば見るほど、何匹ものザリガニを見つけられます。ザリガニは最近ペットショップでしか見ていませんでしたが、水路にこれだけいるとは嬉しくなります。
人道路上に進行方向を示す矢印。青、白、オレンジに色づけされて立体的に見え、おもしろい道路標示があるなぁと眺めます。石碑がちょこんと祀られた小さな 交差点を曲がり、路地へ。ぐるりと一周して進路を変えた先に、実を包んだ袋がはち切れそうになっているナシ園。作業をしていた女性に聞くと「これは豊水。 9月初めから終わりごろに収穫されます。今年は天気がよかったから甘みが強いと思いますよ」。
再び、おおっ? と立ち止まったのは、幅1メートルほどの水路(3)に架かる橋の上。すぐ足下をコイがゆったりと泳いでいきます。水がきれいだからだろうと、またまた嬉しくなっていたら、胴が青やら羽が黒やらの珍しいトンボがすい〜すい〜。街の中とは思えない光景です。
子どもやお母さんたちの賑やかな声に誘われて行き着いたのは、公園の隣りに建つ龍安寺(4)。境内の立派なサルスベリがピンクの花を枝いっぱいに咲かせています。山門の前にある庚申塔は寛文9年(1669)の銘があり、現存では多摩区最古と言われているものです。
二ヶ領用水(新川)と府中街道を渡って住宅街へ。その向こうには雑木林や竹林が迫っています。これだけ緑があふれているから珍しいトンボもいるのかなぁと思いながら路地へ。家と家の間を縫うような細い通りに方向感覚が鈍るのと同時に、行き止まりの道もあって行ったり来たり。途中に「府中県道→」の標示板を見つけ、ホッとします。
「この先、通れますか?」とすれ違う人に道を聞きながら、安立寺(5)に到着。山門で迎えてくれた樫と銀杏の大木を見上げます。こちらのお寺にもサルスベ リの甘酸っぱい香り。武州稲毛七福神の毘沙門天が正月三が日にご開帳されると知り、今度は七福神巡りに挑戦してみようと考えて、境内をあとにします。
水路に沿った道の終点に長森稲荷(6)。真っ赤に塗られたお堂には油あげがお供えされています。生田緑地へ向かう通りを横切って直進し、左側に伸びる階段 を上った左右の崖の側面に長者穴横穴古墳群(7)。昭和43年(1968)の調査時に32基の横穴が発掘された7〜8世紀の古墳で、内部からは被葬者の骨 や副葬品などが出土しました。
「稲田登戸病院」の解体工事で通行止めになっている道を折り返して横道へ入って行くと、水路に蓋をしたことでできた路地。マンションや住宅の高い塀に囲ま れて、まるで迷路の中をさまよっているよう。大きな通りにぱっと抜け出た時、現実の世界に戻ってきたという気分になりました。
稲生橋交差点で信号待ちをしていて、あのお店はなにかな? と気になったのは、きもの蔵屋(8)。色彩豊かな幟が飾られ、店内にはリサイクルの着物が所狭 しと並べられています。「着物って自分の体型に合わせて着られるし、普段着として気楽に肩の力を抜いて楽しめるものなんですよ」とお店の方。
と、そこに、なじみ客の若い女性が着物姿で登場。聞くと、「これから食事に行くところ」とのこと。その姿が自然体で美しく、どうにも私も見習いたい! よ し、来年の三が日は着物を着て七福神巡りをしよう! と秋が深まるのもこれからだというのに、早々と決心したのでした(鬼が笑わなきゃいいけど)。
おさんぽクローズアップ!!
「きもの蔵屋」
リサイクルきもの専門店。振袖、羽織、大島紬、浴衣、帯、草履、バッグなどをリーズナブルに、豊富な品数から選べます。わからないことは専門スタッフがなんでも親切に教えてくれるので安心です。
着物をブラウスやワンピースにリメイクしたり、パッチワークの生地にしたりする人もいるほか、お稽古着や舞台衣裳として購入していく人など、着物を楽しむ人はさまざま。
また、お客さんのなかには「着物をもっと楽しんで着よう!」と、着物を着て集まる会を作り、“着物でお出かけ”を楽しんでいる人たちもいるそうです。
■ 044-982-7855
■ 12:00〜20:00、11:00〜19:00(冬期)2007
■ 無休
※ 平成19年(2007)8月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
取材・文/森田奈央
森田奈央
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。