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おさんぽ通信

    第29回 生田駅~読売ランド前駅を歩こう!

    2007/04/01
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    1. 生田駅
    2. 五反田川
    3. 五反田神社
    4. 三田第2公園

    5. おせんべいやさん本舗 煎遊
    6. 欧風菓子なかがめ
    7. 杉山神社
    8. 読売ランド前駅

    おさんぽ記

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    生田駅(1)南口の階段を下り、すぐ正面を流れる五反田川に沿って左へ。ホームの隣りに広がっている柿畑を眺めます。柿の新しい葉っぱたちは表面がつやつやと輝いていて、初々しいばかり。駅前でこんなにもみずみずしい自然の風景を目にできるなんて、嬉しい限りです。

    電車が停車するごとに明治大学のキャンパスへ通う学生たちの波。その波に流されて、五反田川に架かる魚見橋(2)でひと呼吸。魚見橋という名の由来を考え、橋の上から川の中をのぞきこんでみましたが、魚の姿は見つけられませんでした。

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    学生の流れには戻らず、前方高くそびえる階段へ進みます。8合目ぐらいまで上ったところでふり返ってみると、線路の向こう側の丘の緑の中にかすかに見える 幼稚園の園庭。子どもたちの姿は確認できませんが、「せんせい! せんせい!」と呼びかけるかわいい声は不思議と響き渡って、こちらの耳まで伝わってきます。

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    階段の頂上で迎えてくれたのは、五反田神社(3)。境内からは生田駅周辺が一望できます。カタンコトンと走ってきた小田急線を目で追えば、ホームそばの柿 畑はまるで黄緑色のじゅうたん。丘の上には空高く旋回する鳥、たくさんの窓が並ぶマンション、ひらひらと舞い踊る蝶々。それから、踏切の音、資源ゴミ回収 車のアナウンス……。さわやかな風に吹かれながら街を俯瞰する気持ちよさに、時間を忘れてしまいそうです。

    8月第1土日曜の盆踊りには400〜500人の人出でにぎわい、9月第2土日曜の例大祭にはお神輿が町内を練り歩きます。初詣には三が日で3000人の参 拝者が訪れ、だるま市も開催されるんですよ。1月15日頃にはどんど焼き、2月の節分には豆まきも行われます」と、境内で会った神社の人。「詳しいスケ ジュールは自治会の掲示板を見てくださいね」。とても親切に教えてもらいました。

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    三田第3公園から聞こえるコーンコーンというゲートボールの音を背に、高台に広がる住宅街へ。歩いて行くうちに前方の視界が開け、谷間に家並みが続く見晴 らしのいい場所に。谷間を右手にしばらく行くと、先ほどまでいた住宅街が谷間の向こう側に見渡せます。あ! さっき、あそこからこちらを眺めていた! 反 対側の斜面をもっと遠くにあるように見ていたのに、意外とすぐに歩ける距離なんだなあ、と考えながら到着した三田第2公園(4)。ここもまた駅近くにある とは思えないほど自然がいっぱいの公園です。

     緑に囲まれた散策路をゆっくりと下り、生田駅のバスロータリー方面へ。再び近づいてきた踏切の音を前に左折し、カラオケ店や自然食品店の前を通り 過ぎた頃、「黒こしょうせん」「ねぎみそせん」と書かれた幟を見つけます。お店のガラス戸には新聞や雑誌のキリヌキ記事。なんだか、おいしそう! と、おせんべいやさん本舗 煎遊(5)にいそいそと入って行きました。

    お店にはしょうゆ、ごまなどの定番おせんべいから、幟で見た「黒胡椒せん」「葱みそせん」などちょっと変わったおせんべいまで、ずらずらり。黒 胡椒せんと葱みそせんは大袋入りの「ご家庭用」も用意され、籠いっぱいに盛られています。「ご試食をどうぞ」と差し出された黒胡椒せんにサッと手を伸ば し、パリッカリッポリッ。すかさず、ご家庭用の大袋を2つ手に取りました。

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    おせんべいを片手に、次に出会ったのは4階建ての白い壁に絵が描かれた欧風菓子なかがめ(6)。「フレスコ画家の大野彩さんによって製作されたフレスコ画 です。大野さんは都立井の頭恩賜公園西園内にある『三鷹の森ジブリ美術館』のエントランスホールの天井画を手がけた人です」と、お店の人。「5年前の開店 20周年のときにお願いして、描いていただいたんですよ」。フレスコ画をあらためて見上げると、今にも壁面から飛び出してきそうな躍動感が満ちあふれてい るのでした。

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    さて、なかがめでスイートポテト「栗谷ポテト」を手に入れ、栗谷の街を歩いて行きます。地名が栗谷から西生田に変わった左手に、杉山神社(7)入口の階 段。木立に囲まれてひっそりとした参道がどこまでも続き、木々の間をすり抜けてきた陽光がきらきらとまぶしく輝いています。ゆっくりゆっくり歩いて、やっ と鳥居をくぐり抜けると、広い境内。いっかくを黄色に染めるたんぽぽが、そよ風にゆらゆら揺れています。

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    境内の外に足を踏み出すと、再び屋根が連なる風景。さわさわと音をたてる風に乗って、時折、電車の音も聞こえてきます。丘の斜面の階段を何段も下って、読売ランド前駅(8)へ。おいしいお土産が入ったビニール袋もかさこそと音を立てていました。

    おさんぽクローズアップ!!

    「おせんべいやさん本舗 煎遊 生田店」

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    国内産銘柄米を使用し、食感と香ばしさにこだわったおせんべいがおいしいと評判。最近はテレビ、新聞、雑誌などに取り上げられることも多いようです。
    本店は埼玉県深谷市で、首都圏を中心に直営店を展開。神奈川県内では生田のみに店舗があります。
    黒こしょうをまぶした黒胡椒せんは、ピリリッと、あとを引くおいしさで、ビールやワインのおつまみにもばっちり。
    葱みそせん、あげせん、ゆずみそ、ぬれせん、黒豆おかきなども人気があります。


    ■ 044-966-2910
    ■ 川崎市多摩区栗谷3-2-6
    ■ 10:00〜19:00
    ■ 無休

    「欧風菓子なかがめ」

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    ドイツで修行したオーナーパティシェが手作りするドイツ・スイス菓子。
    旬のフルーツで彩られたケーキや焼き菓子、チョコレートなどが並べられます。 自慢は「エンガディナー ヌッス トルテ」。香ばしいクルミを風味豊かなキャラメルで絡め、バタークッキーで包んで焼いたドイツやスイスの伝統的なお菓 子。本場で食べたものよりおいしいと絶賛するお客さんもいるそうです。
    栗谷ポテトは地元の銘菓として、お土産にも最適。甘さひかえめの半生タイプで、いつのまにか口の中でとろけていきます。店内でドリンクとケーキを味わうこともできます。


    ■ 044-954-7612
    ■ 川崎市多摩区栗谷3-2-13
    ■ 9:00〜19:00
    ■ 火曜休(祝日は営業)

     ※平成19年(2007)4月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。

    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。