第27回 琴平神社~虹ヶ丘団地を歩こう!
2007/02/191. 琴平神社・儀式殿
2. 3つの石碑
3. 琴平神社・本殿
4. 王禅寺ふるさと公園
5. 里山の風景
6. 玉縄桜
7. 虹ヶ丘歩道橋
8. 虹ヶ丘公園
9. 早野聖地公園
おさんぽ記
青い空に大きな赤い鳥居が輝く琴平神社・儀式殿(1)。紅梅、白梅が咲きそろい、華やかな雰囲気が漂っています。奥にある稲荷社の階段脇には染み出した水がちろちろと流れ、春の到来を告げているかのよう。まぶしい日射しは背中を暑く感じさせるほどです。「第2回 ヨネッティー王禅寺〜琴平神社を歩こう!」で訪れたとき、夕闇のなかでお金を洗った弁財天社(銭洗弁財天)。足はやっぱりここへと向かいます。
銭洗水にやっと満足して渡った琴平神社交差点に3つの石碑(2)を発見。物言わず、ちょこんと立っている姿はおもわず見逃してしまいそう。現代の地域看板も並べられ、昔からここは人々が行き交う場所だったのだろうなぁと思わせます。
急傾斜の階段を上り、琴平神社・本殿(3)へ。途中でふり返ると道路が真下に見え、目の前がくらり。あわてて手すりにつかまって、上方だけを必死に見据えます。やれやれと着いた境内には以前来たときと変わりなく、手水鉢に「がまんさん」。お堂の前にはリス型の遊具。この組み合わせがどうしても気になります。
桜が満開と聞いたら、急がねばなりません。境内から伸びる道に「金子稲荷大明神」。ぱたぱたとはためく赤い幟を見上げ歩いた左側にお墓。さらに行くと、王禅寺ふるさと公園(4)の「遠見の広場」が見えてきました。ベンチでのんびりおしゃべりする熟年夫婦、お弁当を広げるおばあちゃんと孫。「桜が咲いているのは、ぐるっとまわって行ったところにある『多目的広場』ですよ」。……お弁当箱のオレンジがおいしそうでした。
2本に分かれる遊歩道の真ん中に「柿生の里散歩道案内図」。赤ちゃんを抱っこした若いおかあさんが案内図を見ていたら、犬を連れてやって来たおじさんが「右側の道のほうが明るくてラクですよ」。おかあさんに続いて右側へ進み、頭上に咲く白梅を眺めます。クマザサがさらさらと風に揺れる道をしばらく行き、竹林を抜けると、一面に畑が続く里山の風景(5)が広がりました。
ピーピーと鳥の鳴き声。畑の向こうに並ぶ白梅は陽光に映えています。道沿いの花桃の枝には真紅のつぼみがいっぱい。「あと1〜2週間で咲くんじゃないでしょうかねぇ。今年は開花が早いですよ」と老夫婦が微笑んで行きます。この風景にさらに花桃の紅が加わったら、さぞかし趣深いでしょう。
そして、いよいよ満開の玉縄桜(6)とご対面。多目的広場の散策道で薄桃色の花を見事に咲かせ、春の訪れを高らかに告げています。「見晴らし広場」から身を乗り出して眺めている人、ベンチに座っていつまでも眺めている人、1本1本間近に寄ってじっくりと見入っている人。それぞれに花見を楽しみ、穏やかなひとときを満喫しているようでした。
公園を出て、長い上り坂へ。左側に「日立製作所システム開発研究所」があり、フェンス越しに見ると施設内には太い桜の木。琴平神社で会ったおばあちゃんが「日立製作所では毎年1日、開放日があって、地域の人たちに桜見物をさせてくれるの。とってもきれいよ」と話してもらったのを思い出しながら、ユリノキ並木を下ります。「東急バス虹ヶ丘営業所」の交差点を渡り、虹ヶ丘団地方面へ行くと、虹ヶ丘歩道橋(7)が迎えてくれました。
広い通りを進むと、なにやら見覚えがある場所。「第20回 籠口の池公園〜早野聖地公園を歩こう!」で訪れた早野聖地公園(9)です。琴平神社と早野聖地公園の位置が頭のなかのおさんぽマップ上できれいにつながっていくのを実感しつつ、バスが来るまであたりをうろうろします。
バス停「虹が丘小学校」のそばに濃い紅色のつぼみをもった桜(緋寒桜?)が1本。堤入池のほとりに大きな桜が1本。「虹の懸橋」を戻っていく途中で、歌唱曲『花の街』の「♪春よ春よと 駆けていったよ〜」の一節がふと口から踊り出ました。
おさんぽクローズアップ!!
「武州柿生 琴平神社」
本殿と儀式殿に分かれ、儀式殿では家内安全、商売繁盛、交通安全、厄よけ、病気平癒、合格祈願などの祈祷を受けつけています。
「恋みくじ」「こどもおみくじ」が人気で、境内のいっかくには人々によっておみくじが結びつけられ、真っ白に染まっているほどです。
毎年5月下旬には「柿生の里展」が行われ、地域の人々の絵画や焼き物、染め物、書画などの作品が展示されます。見ごたえがあると評判で、毎回楽しみにしている人も多いそうです。
■ 044-988-0045
■ 川崎市麻生区王禅寺東5-46-15(社務所)
※ 平成19年(2007)2月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
取材・文/森田奈央
森田奈央
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。