第25回 はるひ野を歩こう!
2006/12/191. はるひ野駅
2. 桜並木
3. 丸山こもれび公園
4. 黒川谷ツ公園
5. 京王電鉄若葉台検車区・若葉台工場
6. 黒川よこみね緑地(入ったところ)
7. よこやまの道
8. さくらの広場
9. 黒川よこみね緑地(出たところ)
おさんぽ記
開放感にあふれた明るい構内が、今もなお初々しいはるひ野駅(1)。南口改札口では「風力・太陽光ハイブリッドシステム」のモニターで温度、風向、風速、発電電力のデータが更新されているのが見られます。そう言えば、「第4回おさんぽ通信 黒川駅〜はるひ野駅を歩こう!」で訪れたとき、「発電された電力は駅の照明などの一部に利用されています」と駅員さんに教えてもらったことを思い出しました。
あれから2年、ほとんど何も建てられていなかった駅南口に出てみると、右手に数棟の真新しい建物とフットサル・コート。青いシートをかぶった工事中の建物もあり、これからがどんどん楽しみになっていきそうな様子。タンクローリー車が行く通りにも桜の苗木が植えられ、その桜並木(2)は造成地のあいだの遊歩道へと続いています。
なになに? こっちの看板「事業計画のお知らせ」の事業名称は「はるひ野共同住宅計画」。あっちは「川崎市黒川地区小中学校新設事業」。へぇー、学校もできるんだと、遊歩道をうろうろしながら新しい街の風景を思い描きます。子どもたちがここをにぎやかに登下校するのはいつ頃かなぁと考えているうちに見えてきたのは、丸山こもれび公園(3)。よくある公園のブランコや鉄棒とはちょっとちがう形の遊具が配され、さすがは“これからの街”の公園!
公園の周辺にはぴかぴかの一戸建て。「農家から台所へ 朝取り新鮮野菜 出店予定日 土、日、祭日」と貼り紙された野菜の無人販売所があり、生活のにおいも感じられます。ハナミズキの並木道に出て、生まれたての新興住宅地を見渡せば、屋根の上でトンカチをトントン威勢よく鳴らす大工さんや引っ越しトラックから荷物を運び出す人々があちこちで目にとまります。
それらを背にして「よこみねトンネル」をくぐると、眼下に広がるススキ野原の足もとに小田急線と京王相模原線。両線がもぐるトンネルの上を行く道路へ進み、黒いフェンスのなかに散策路を見つけます。「黒川谷ツ公園(4)といって、動植物の維持管理のために開放日が決められているんですよ」とすれちがった散歩中の男性。「景色はいいし、途中には湧水もありますよ」。
京王線沿いの造成地の道を手前に京王線、向こうに小田急線が走って行く姿を眺めながら下って行きます。キャベツやブロッコリーが列をなす畑を横目に、広い通りを渡ったところには京王電鉄若葉台検車区・若葉台工場(5)。規則正しく一直線に並んだ電車の雄姿におもわず、わぁ〜! と声をあげてしまいます。
階段を上って、笹とススキに囲まれた道を行き、雑木林のなかへ。人影のない道に不安をおぼえながらも、好奇心は足を前へ前へと進ませます。あっ、ここは! と驚いたのは散策路が、さっきくぐった「よこみねトンネル」の上へとつながっていたから。「よこやまの道(7)」と案内板があり、落ち葉に埋めつくされた道をガサガサと行くと、何分か前に通って黒川谷ツ公園を見つけた道路が真下に。おお、こうなっていたのか……! まるで隠されていた道を探しあてたかのような嬉しさです。
黒川よこみね緑地(9)の案内板に別れを告げて、あ〜、楽しかった! 近所の野山を探検してきた子どものような気分です。畑で作業するおじいちゃんや空に浮かぶ飛行機雲をのんびり眺め眺めしながら駅へ戻る途中、♪夕焼け小焼けで日が暮れて〜 のオルゴール音。西の山の端に日が沈んでいくところでした。
おさんぽクローズアップ!!
「黒川谷ツ公園」
土地区画整理事業によって設置された公園。黒川に残された雑木林、湿地、小川をはじめ、そこで生きる多種多様な動植物などの貴重な自然環境が保護されています。
現在は公園の一般開放日が設定され、当日はガイドツアーも開催(午前9:45〜、午後1:45〜)。
最新の情報は、http://www.glac.co.jp/kurokawayatsu.htmlにて、確認のこと。
■ 開放日(平成19年予定)
1月27日(土)9:00〜16:30
2月10日(土)9:00〜16:30
3月4日(日)9:00〜16:30
※4月以降は未定
※ 平成18年(2006)12月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
取材・文/森田奈央
森田奈央
日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。