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おさんぽ通信

    第7回 寺家ふるさと村を歩こう!

    2005/07/15

    1. 四季の家
    2. 大曽根園芸の野菜の直売
    3. 郷土文化館
    4. 陶芸舎
    5. うずらの卵の直売
    6. 水車小屋

    7. むじな池
    8. 熊の池
    9. 熊野神社
    10. 田んぼ
    11. 手造りだんごの看板
    12. 雑貨shop GK Afghan

    おさんぽ記

    雨上がりの濡れている道を歩き、まず四季の家(1)へ向かいます。こちらでは寺家ふるさと村のマップや施設案内がもらえるほか、周辺の自然や歴史を紹介する展示があり、散策する前の予習ができます。

    寺家ふるさと村に広がる農地や山林は公的なものではなく、ここに住む農家の人たちの所有物です。自然環境の保全と農業の振興、活用をはかるため、そして、人々が身近な自然にふれられるよう、自由に見てまわれる環境に整えられています。「都市近郊はどんどん開発されて、このような自然はもはやとても貴重なものなんです」と話してくれたのは四季の家の館長の木村さん。「訪れた人がその貴重な植物や昆虫などを採取すると、自然は残らなくなってしまう。1人1人がマナーを守って、この田園風景を楽しんでほしいですね」。四季の家の入口付近がにぎやかになってきました。なんだろう? と見ると、大曽根園芸の野菜の直売(2)が始まったところ。朝取りのみずみずしい野菜が並べられ、詰めかけたお客さんたちが次々と袋いっぱいに買っていきます。「朝、雨が降っていたから、今日はお休みかと思って心配しちゃった」と常連さん。“心配しちゃうほどおいしい野菜”のようです。

    風情のある石畳の階段をのぼった先に、郷土文化館(3)が見えてきました。展示室には陶器や茶道具などが並べられ、ここで開催される工芸作家の作品展を案内するハガキやチラシが置かれてあります。併設の茶室白心庵では庭を眺めながら抹茶とお菓子を、また、隣接の青山亭では食事とお茶を楽しむことができ、ゆったりとした時間を過ごせる場所です。

    階段をさらにのぼり、「門」というタイトルの彫刻に足を止めつつ行った小道の終点は陶芸舎(4)。予約をすれば体験教室で志野焼に挑戦できるそうです。目の前の枝葉がしだれる木に「三春瀧桜の分苗」と書き添えられているのを発見。花が咲き乱れる様を想像してみます。

    寺家ふるさと村の各所には野菜直売所があります。それぞれの農家で取れたばかりの作物はどれもほんとうに新鮮で、あれもこれもお土産に買って帰りたくなります。なかでも、うずらの卵の直売(5)は珍しくて、即購入。こちらも産みたての朝取りです。

    田んぼに沿って歩いて行くと、水車小屋(6)むじな池(7)などが次々と現れます。と、脇道に「下三輪横穴墓碑」と書かれた案内板。通りがかりの人の「歩いて10分もかかりませんよ」という話に歩き出しましたが、「まむしが出るから、道以外のところは入らないほうがいいですよ」と追加された言葉を思い出し、草や葉にしずくが残る山道の途中で怖くなって引き返しました。

    熊の池(8)ではポチャンとのんびり釣り糸を垂れる人々。「ンゴォ〜、ンゴォ〜」というカエルの鳴き声が聞こえてきます。幹の太い立派な木が迎えてくれるのは熊野神社(9)。このあたりを見守ってきた“鎮守の森”の貫禄たっぷりです。

    苗のあいだを飛びまわる糸トンボ、水面をすべっていくアメンボ、田んぼ(10)の中をのぞきこめば、大小さまざまなオタマジャクシが小さな尾ビレを踊らせています。トリッキーな素早い動きを見せているのは?「ゲンゴロウの種類だなぁ、あれは」と田んぼの様子を見に来ていた農家の人。「季節ごとの自然観察会、そば打ち教室、味噌造り教室、田植えから稲刈りまでを楽しむ『体験水田』もやってるから、今度来たときは参加するといいよ」。ふむふむ、それはぜひ参加してみたいところ。田んぼの真ん中に立てられた手造りだんごの看板(11)を見て、ますます気合いが入ります。

    最後に訪れたのは、雑貨shop GK Afghan(12)。自然の楽しさをたっぷりと満喫しつつ、かわいい雑貨にも囲まれるというおまけつき。なんて充実した散歩だろうと足取りもまだまだ軽く、ふと気づくと、雨に濡れていた路面はいつのまにかすっかり乾いていました。

    おさんぽクローズアップ!!

    「郷土文化館の青山亭」

    茶道を気楽に楽しめる郷土文化館。隣接する青山亭ではお茶時に出てくる軽い食事「点心」をアレンジした点心弁当が用意されています。野菜の煮物、魚料理、田楽、酢の物など季節によって変わる献立をていねいに手作りしたお弁当。量が少ないのは、抹茶とお菓子も合わせておいしく味わえるよう配慮されているものだからです。
    お団子、抹茶のあんみつ、季節のシフォンケーキなどのほか、珈琲や紅茶などの飲み物もそろっています。


    ■045-961-5863(青山亭)
    ■横浜市青葉区寺家町602
    ■10時〜17時
    ■火曜休(祝日はその翌日休)
    ■点心弁当(抹茶と和菓子付)1575円

    「雑貨shop GK Afghan」

    子育てをしながら自宅を改造して雑貨店をオープンさせたご主人。キッチン、インテリア雑貨を中心に自らセレクトしたものを並べています。「鉄やテラコッタなどの雑貨は外に置いておくと錆びたり苔が生えたりして味わいが出てくる。そういうのも楽しみたい」と話すとおり、庭にもディスプレイされた雑貨がそこここに。
    将来は庭にテーブルを出し、雑貨とお茶を楽しめるカフェにしたいそうです。


    ■〜16時半(在宅の時のみ開店。通りに出ている看板に要注意)
    ■不定休

    ※ 平成17年(2005)6月にお散歩しました。料金などの各情報は変更になる場合があります。
    取材・文/森田奈央 

    森田奈央

    日ごろ見過ごしがちなものを散歩しながら発見することに胸おどらせるおさんぽライター。散歩途中で猫と出会うことも大きな喜びとし、著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。