第25回 一六タルト(愛媛県松山市)
2015/05/23タルトといえば、パイ生地の上にフルーツなどを盛った洋菓子を思い浮かべるが、愛媛ではカステラ生地で餡を巻いたロールケーキ状のお菓子を指すとか。なかでも代表的なのが明治16年創業の一六本舗のもの。くるりと巻かれた美しい「の」の字。卵の風味が広がるきめ細かな生地と、ふんわり柚子が香るしっとりした餡が絶妙だ。
その歴史は江戸時代に遡る。長崎探題職を兼務していた松山藩主・松平定行が南蛮菓子のタルトを気に入り、製法を持ち帰った。当時のタルトはカステラの中にジャムが入ったもの。まだ日本にジャムがなかったため、定行が餡入りを考案したという。
餡は、皮を取り除いた小豆とまろやかな甘さを引き出す最高級の白双糖でじっくり炊き上げ、四国特産の生柚子を加える。生地はバターや油を使わずに強火でさっと焼きあげ、たたいてガスを抜くことでふっくらした状態に。食べやすいようスライスした商品を最初に売り出したのもここ。四国銘菓を気軽に楽しめるのもうれしい。
一六本舗 勝山本店
電話089-941-0016
愛媛県松山市勝山町2-8-1
営業時間/8時30分~21時 定休日/無休
一六タルト1本648円、 ひと切れ一六タルト5個入り586円