第72回 干梅(青森県黒石市)
2020/10/24 梅干しというと梅の実を漬けた丸い姿を思い浮かべるが、津軽では種を抜いた梅肉をシソの葉でくるんだものが一般的とか。その梅干しに似ていることから名がついた。白餡を求肥でくるみ、さらに塩漬けした赤ジソで包んだ銘菓だ。
箱を開けるとふわっと立ち上るシソの香り。しっとりした見た目だが、歯をたてるとパリッとシソの葉が弾け、白餡のやさしい甘さとシソの塩味、酸味が口中で溶け合う。なめらかな舌触りと味のバランスが絶妙だ。求肥は気づかないほどの薄さだが、シソの水分や塩分が餡に移らない役割もあるという。シソは青森産。色合いや大きさなどを選別し、塩加減に気を配る。餡は北海道産手亡豆を使用して甘さを抑える一方、求肥はしっかりした甘みに。注文を受けてから仕上げの白砂糖をまぶすなど、丁寧な仕事ぶりが味を支える。
明治の創業から百年以上。地元の人に喜んでもらえる菓子作りがモットーだけに、普段使いから手土産、贈答品まで多くの人に愛されている。
松葉堂まつむら
ご注文・問い合わせ
TEL0172-52-3574
青森県黒石市中町30
営業時間/8時~19時
定休日/無休
干梅 16個入り 2,300円