第24回 うすかわ饅頭(和歌山県串本町)
2015/03/28「甘くない饅頭があってもいいのではないか」という発想から生まれたうすかわ饅頭。小ぶりながら、白い皮の中には薄墨色の上品なこしあんがたっぷり。口に含むと、確かに甘さは控えめだが、その奥に小豆の深い味わいが広がり、もう一つと、つい手が出てしまう。創ったのは明治26(1893)年創業の儀平菓舗の二代目という。今でこそ抑えた甘みが人気だが、当時は甘さがおいしさの基準とされた時代。敢えて甘くない饅頭に挑戦したのは強い信念と同時に先見の明があったともいえよう。
ゴツゴツとした形は、地元の景勝地、橋杭岩(はしくいいわ)の形をイメージした。生地は小麦粉に自家製の甘酒を隠し味程度に入れ、あんは北海道産の最高級の小豆を使用。あんも生地も柔らかいので、職人が絶妙な力加減で一つひとつ丁寧に包み、蒸し上げる。保存料などは使用していないので日持ちは3日程度だが、安心できる手作り菓子として熱烈なファンも多い。昨年10月には神奈川県鎌倉市に「北鎌倉 儀平」がオープンした。
儀平菓舗(ぎへいかほ)本店
0735-62-0075
和歌山県東牟婁郡串本町串本1851
営業時間/7時~18時30分
定休日/無休
6個入り 678円、10個入り 1,130円