連載メニュー

ふるさとの銘菓

    第67回 越乃雪(新潟県長岡市)

    2020/01/27
    越乃雪本舗 大和屋 
    ご注文・問い合わせ 
    TEL0258-35-3533
    新潟県長岡市柳原町3-3 
    営業時間/9時~17時 
    定休日/日曜(水曜不定休)
    越乃雪 16個入り 1,296円

     長岡産のもち米の寒晒粉(かんざらしこ)と徳島の和三盆糖を合わせた押し物で、金沢の「長生殿」、松江の「山川」と並ぶ日本三大銘菓の一つ。安永7(1778)年、初代大和屋が病気の長岡藩九代藩主・牧野忠精にお菓子を作って献上したところ、ほどなく快復。喜んだ忠精から「越乃雪」の銘を与えられたという。
     ひと粒は2㎝ほど。そっとつまんで口に入れると瞬く間に溶け、雪のようにはかない。上品な甘みが広がり、深い余韻が残る。
     素材と製法は240年変わらない。和三盆糖は水分を多く含む〝生〟と呼ばれる状態。和菓子によく使われる〝かわき〟のものに比べ風味が強いという。寒晒粉はもち米を一度炊いてから天日干しする独自の方法をとる。気温や湿度によって和三盆糖の寝かせ具合や押し固める力加減が難しく、絶妙な職人の感覚が頼りだ。
     幕末の志士、高杉晋作が亡くなる少し前に、越乃雪を松の盆栽に振りかけて雪見に見立てたという逸話も。多くの偉人たちに愛されてきた銘菓である。