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ふるさとの銘菓

    第23回 柴舟(石川県金沢市)

    2015/03/06

     京都、松江と並ぶ日本有数の菓子処、金沢。多彩な和菓子が生活に溶け込む風土にあって、長年愛されているのが柴舟だ。朝霞のなか、柴を積んで川を下る小舟を模したといわれる。ゆるやかに反った小判型の煎餅が、うっすらと雪をはいたように生姜砂糖をまとい、何とも風情がある。

     1917(大正6)年創業の老舗、柴舟小出の代表作。昔から気軽に食べられていた駄菓子のような煎餅を、2代目が製法などを変え、現在の格式ある銘菓へと高めた。高知産の生姜や上質な砂糖など国産の材料を厳選。小麦粉生地の煎餅を焼き、砂糖と生姜の絞り汁を煮詰めた蜜を職人が一枚一枚刷毛で塗っていく。生姜と砂糖による味のバランスや蜜を均一に塗ることに気をつかうという。

     パリッとした食感の後に、ピリリとした生姜の風味が口中に広がり、ほんのりした砂糖の甘みと見事に溶け合う。上品な刺激だ。煎餅が入った舟型の籠もかわいらしい。
    「金沢のお菓子はいいね」というのが社是。納得のおいしさである。


    柴舟小出 本社 横川店
    076-241-3548
    石川県金沢市横川7-2-4
    営業時間/平日8時30分〜19時、日・祝〜18時
    定休日/無休 
    柴舟14枚入り(籠入り) 756円