第20回 砂丘の風紋(鳥取県鳥取市)
2015/03/06箱を開けると、美しい風景が現れる。風によって砂の上に描き出されるという風紋。薄茶色から緑へと変化していくさまは砂のさざ波のようだ。
昭和8年創業の京屋菓舗の代表作。京都で修業を積んだ初代が、鳥取砂丘を模して作った落雁だ。すべて手作業のため、同じものがなく、唯一無二の紋様が楽しめる。
上質な砂糖に阿波の和三盆、寒梅粉、自家製の梅エキスなどを混ぜ、型に入れ、押し固める。紋様は熟練の職人が道具を使って描く。しかも表面だけでない。断面を見るとわかるように、中も層になっている。この層は玄米粉を使用。紋様の繊細さもさることながら、難しいのは押し具合だという。柔らかすぎても、堅すぎてもいけない。絶妙な力加減が、一般的な落雁とは違う柔らかな口当たりを生みだす。口に含むと、玄米粉の香ばしい風味とほのかな梅の香りが広がる。甘すぎず食べやすい。緑茶だけでなく、紅茶やコーヒーとも好相性。広大な砂丘を思い浮かべながら、一服するのも楽しい。
京屋菓舗
0857-22-2355
鳥取県鳥取市吉方温泉2-511
営業時間/9時~17時
定休日/日曜・祝日
1箱(約30切れ) 756円