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ふるさとの銘菓

    第16回 うばがもち(滋賀県草津市)

    2015/03/06

     東海道と中山道が交わる交通の要衝として栄えた草津宿。行き交う旅人の口を慰めたのが名物うばがもちだ。起源は永禄12(1569)年。織田信長に滅ぼされた佐々木義賢の曾孫を託された乳母が、養育のために餅を作り売ったのが始まりといわれる。乳母の誠実さに感じ入り、誰いうことなく「姥(乳母)が餅」と呼ぶようになった。その評判は蕪村の句や広重の浮世絵に描かれているほどだ。

     草津産のもち米「滋賀羽二重糯」で作った餅を北海道産小豆のこしあんで包む。その上に白あんと山芋の練りきりを乗せて乳房を表した。一口サイズの愛らしい姿。滑らかな食感とあっさりした甘さで、いくつでも食べられてしまう。

     昭和31年から製造を手がける同店では、季節によって水分量を調整し、いつでも同じ味になるよう努めているという。「安心・安全を大切に、地元で愛されている菓子の歴史をつなぐ」がモットー。四百年以上の時を経た草津名物は、誠実な菓子作りで今も脈々と受け継がれているのだ。


    うばがもちや本店
    077-566-2580
    滋賀県草津市大路2-13-19
    営業時間/9時~19時
    定休日/無休
    うばがもち12粒入り500円