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ふるさとの銘菓

    第13回 志ほか満(宮城県塩竃市)

    2015/03/06

     海藻に海水を注いで塩を作る古代製塩で栄えた塩竃。できた塩は所々に海藻のかけらが入っていたという。その塩の姿を模したのが、銘菓「志ほか満」だ。志が満ちるという意味からこの字を使う。

     砂糖に藻塩と水飴を溶かした塩水を加え、さらに宮城県大崎産「みやこがね」の糯米粉と乾燥した青ジソを混ぜる。木型に入れ押し固めれば、表面に天然記念物「塩竃桜」が打ち出される仕組みだ。実はこの型押しが重労働。塩水の加減も難しく、その日の湿度に応じて適量を決めるのは、長年の経験に基づく勘なのだという。

     手で折って口に運べばサッと溶け、ほのかなシソの香りと餅米のうま味、ほどよい塩味が見事に調和する。
     享保5(1720)年創業。現当主で11代目。先祖は伊達家御用菓子商も務めた。夫婦で営むため、作れるのは1日120個ほどだ。

     東日本大震災を乗り越えた伝統の逸品。手作りの味を守りたいという作り手の熱意と銘菓を愛する人達の思いが、新たな歴史を紡いでいる。


    丹六園
    022-362-0978
    宮城県塩竃市宮町3-12
    営業時間/8時30分~18時30分 
    定休日/無休
    志ほか満 大1,050円、小580円 
    ※2014年2月時点の税込価格