第12回 ちちぶ餅(埼玉県秩父市)
2015/03/06 明治八(一八七五)年創業の水戸屋本店の名物菓子。誕生は40年前。官民一体で観光振興に取り組んだ際、定評があった大福餅を改良し、「ちちぶ餅」の名で販売したところ大ヒット。今では一日約800個、桜の咲く頃ともなれば数千個が売れる看板商品だ。
手に取るとふわふわと柔らかいが、意外に重量感もある。つきたての餅のような滑らかさとつぶあんの抑えた甘みが溶け合い、素朴ながら品がある。毎朝、厳選した国産の餅米をふかしてつき、北海道産の小豆を丁寧に炊く。独自の製法で翌日まで柔らかい餅が自慢だ。かつて秩父地方では「おひまち」と呼ばれる寄り合いで、あん入りの餅を食べる風習があった。こうした土壌も上質な餅菓子が生まれる一因かもしれない。
「特別なことはしていない。ただお客様においしいものを食べていただきたいだけ」という4代目。5代目は裏の洋菓子店で秩父の特産品を使ったスイーツを手掛ける。和洋の違いはあっても秩父を愛する気持ちは同じ。真摯に菓子作りに励む。
水戸屋本店
0494-22-1237
埼玉県秩父市本町1-22
営業時間/9時~19時
定休日/火曜
ちちぶ餅6個入り760円