第10回 けんけら(福井県大野市)
2015/03/06パキッと硬い歯ごたえだが、噛むほどに大豆の香ばしさと甘みが広がり、食べだすと止まらなくなる。
「けんけら」は北陸の小京都といわれる越前大野の名物菓子。変わった名の由来は700年以上前。永平寺の第二道場、宝慶寺の僧「建径羅」が当時の禅師に豆を煎り、飴で固めて供したことからこの名がついたといわれる。ほかに、剣で切れないほどの固さ(剣切羅)だからという説もある。
創業嘉永年間(1848~54年)。代々受け継がれてきた製法を守る朝日屋では、福井産の大豆を煎ることから始める。きな粉より荒い粒の荒粉にし、水飴と砂糖を煮詰めた中に入れて混ぜる。生地は3㎝の短冊型に切ってキュッとひとひねり。ひねることでかさを増やすという、商人ならではの知恵だった。昔はもっと厚く、あごが痛くなるほどだったとか。歴史があるだけに味を変えないことを心がける。
だれにでも愛される素朴な味。添加物なし。日持ちよし、健康によし。今の時代に見事にマッチしている。
朝日屋
0779-66-2975
福井県大野市元町2-7
営業時間/8時~19時
定休日/不定休
けんけら 260g箱入り1,000円(140g袋入り460円)