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ふるさとの銘菓

    第5回 千本桜(岡山県津山市)

    2015/03/06

     津山藩初代藩主・森忠政が築城した津山城址は、「日本のさくら名所100選」にも選ばれている桜の景勝地。その美しい情景を和菓子に託した。

     求肥を麩焼き煎餅で筒状に巻き、煮詰めた白ざらめをハケで塗る。日持ちのため梅肉を入れているので、ほんのりピンク色が愛らしい。桜の花びらのようなふんわりした口あたりと上品な甘さは、茶席でも人気が高い。

     煎餅の表面が茶と白の2色あるのは、片面だけ焼いた1枚の煎餅をさらに薄く横から切って2枚に分け、焼き色のついたものと白い生地のままとで巻くから。求肥の量とのバランスでこうなったという。味も微妙に異なる。

     創業45年の店を仕切るのは2代目のご主人。「おいしいお菓子を真心込めて作りたい」と添加物を使わず、すべて一人で手づくりする。暑いと表面の蜜が溶けるため、7、8月は製造しない。日持ちは4~5日だが、地方発送にも対応。3~5月は配送までに10日ほど要するという。春を愛でながら、職人の技と心意気も味わいたい。


    鶴声庵
    0868-22-4809 
    岡山県津山市二階町6
    営業時間/9時30分~18時
    定休日/日曜 
    千本桜10個入り1,050円