第48回　くんぺん（沖縄県石垣市）

　琉球王朝から伝わる沖縄伝統の焼き菓子。漢字では薫餅と書き、中国菓子の光餅（小麦粉、塩で作ったパン）に由来するといわれる。小麦粉と卵、砂糖で作った生地で、ピーナツバターと煎りごまを混ぜた特製ピーナツ餡を包んで焼いてある。袋の封を開けた瞬間、ふわりと漂う香ばしさ。サクッとした口当たりで、ごまの風味とピーナツ餡のコクが溶け合った上品な味わいだ。
　大正11年（１９２２）創業の宮城菓子店は、琉球伝統菓子の技術を受け継ぎながら、地域資源を生かした新しい琉球菓子作りに力を入れている。くんぺんは季節によって餡の水分量が変わるので、職人が長年の経験に基づき一定の硬さに保っているという。「伝統を守りつつも、お客様の声に耳を傾け、お客様が一番おいしいと言ってくれる味を目指して日々研究しています」と同店。琉球王朝時代には祭祀の供え物など上流階級しか口にできなかったくんぺん。今でも法事などには欠かせないが、日常のお茶菓子、土産物としても人気がある。