第2回 ハス

2023/06/24

  仏教では「極楽の花」とされ、如来像の台座にもかたどられているハス。沼地などの地下茎から茎を伸ばし、水面に大きな丸い葉を広げる。撥水性のある葉の上で、水玉がコロコロと踊る様子も愛らしい。やがて梅雨が明けると、夏の訪れを告げるように透き通ったピンク色の花を咲かせる。
 小田原城址公園にある御茶壺(おちゃつぼ)橋が架かる南堀では、毎年7月中旬から8月中旬にかけて大賀蓮(おおがはす)の花が楽しめる。大賀蓮は古代蓮の一種で、およそ2000年以上前のハスの実から発芽・開花したものだ。日本では昭和26年、千葉県検見川にある落合遺跡で発掘された。理学博士の大賀一郎博士が発見し、育成したことからその名がついている。
 南堀の前にある藤棚の下のベンチは特等席だ。ハスの花は朝早くにひっそりと花開き、午後には閉じてつぼみの状態に戻る。これを3日ほど繰り返すと花を落とし、短い命をまっとうするのだ。鑑賞に訪れるなら午前中がおすすめ。
 園内では毎年、開花時期になると待ち構えていたようにカメラマンが訪れ、その清らかな姿をシャッターに収めている。ハスの花言葉は「雄弁」。小田原城を見守る閑静な公園で、日に日に強くなる日差しを浴びながら咲き誇るハスを前に、心静かに自分と対話してみてはいかがだろう。

小田原城址公園

TEL0465-23-1373 神奈川県小田原市城内
開園時間/9時〜17時 JR・小田急線小田原駅から徒歩10分

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