先の予測が難しいこれからの時代を生きていく今の子どもたちに、私立中高一貫校ではどんな教育が行われているのかを取材。そのユニークな取り組みをコラム連載で紹介する。
グローバルな探究授業で生徒が各国の大使に!? ②-後編
担当国の魅力をPRするプレゼンテーションでは、他国の大使から「フィードバック」が送られる。生徒は「大使」の視点で「自分の国から見てあなたの国のプレゼンテーションはどうだったのか」というメッセージを送るのだが、現在の社会情勢や相手国との関係なども考慮した上で内容を考えなくてはならない。
例えばコートジボワール大使から日本大使へは「貴国ではバレンタインデーにチョコレートを贈る習慣があると聞きましたが、主にガーナ産をお使いとか。ぜひ、我が国のチョコレートを!」とのラブコールが。また、チャド大使からコートジボワール大使へは「観光資源やカカオなど、魅力のあるものが多くうらやましい。同じフランス語を使う国家として、協力していきましょう!」とコメントが寄せられた。担当教諭は「他国との間に公用語という観点で共通項を見出した点がよいですね」とその着眼点を評価した。
日本大使からミャンマー大使へは、「今、貴国は大変な状況ですよね。私たちはあなたたちとの関係を維持したいと思っています。困っていることがあれば、なんなりと相談してください」とのメッセージ。「日本は国連からもミャンマーとの橋渡しを期待されています。迫真のお手紙です」と担当教諭がその姿勢に賞賛の拍手を送る場面も見られた。
プレゼンテーションを終え、担当教諭に総評を聞くと、「自国にだいぶ愛着がわいてきたようです。担当国の魅力を語る『大使たち』の顔がりりしく見えました」と目を細めた。
一連の授業を通して、「日本に住む中学3年生」としてではなく「担当国の代表」の立場で世界を見る視点が、生徒たちのなかで育っているようだ。
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取材協力:桐蔭学園中等教育学校
横浜市青葉区鉄町1614
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