先の予測が難しいこれからの時代を生きていく今の子どもたちに、私立中高一貫校ではどんな教育が行われているのだろうか。新カリキュラム「6年間のロードマップ」が発足5年目を迎える桐蔭学園中等教育学校。一貫教育ならではの方針について取材し、コラム連載で紹介する。
6年一貫の教育で「生きる力」をじっくり養う②
2023年度の連載①では、先の読めない時代を生き抜くために、桐蔭学園中等教育学校では6年一貫の教育で「生きる力」をじっくり養っていることを紹介した。
そこで学び支援主任の一蝶亮教諭が強調していたのが、「教科以外の学び」だ。
「本校の教育課程をピラミッドに例えると、一番上に知識、その下に考える力、行動する力があり、底辺を支えるのは『どう生きたいか』という個人の価値観です。『どんな人でありたいか』を考えることによって初めて勉強への原動力が生まれるのです」
桐蔭学園中等教育学校では、1・2年次を「出会う」ステージと位置づけ、他者とつながるための対人基礎力を重視している。その具体的なプログラムが、通称「メンター/メンティー」だ。1年生と2年生が学校生活について語り合う場を、定期的に設定しているのだ。
このプログラムでは2年生が「メンター」、1年生が「メンティー」となる。「メンター」は「経験があり、後輩に対して適切な助言を送ることができる人」という意味で、メンティーは安心してさまざまな質問をし、助言をもらうことができる。
「メンター」となる2年生には、学習や学校生活に対する考え方など、幅広い視点から相手の成長を支援する役割が期待されている。同時に、後輩に対して自身の経験を伝えることで自身の成長を改めて実感する機会にもなり、どちらにとっても有意義な時間となるのだ。
このプログラムに参加した1年生の感想を紹介しよう。
「今日は3人の先輩と話すことができました。上級生に対しては緊張してうまく質問できないことが多いですが、とても優しく接してくれて、会話も盛り上がりました。私は期末試験前にどのように勉強したらいいか、などを聞きました。どんな質問をしても、先輩方は優しく返してくれました」
担当教諭は「1年生は緊張しながらも積極的に質問をしていたのが印象的でした。2年生は昨年は質問をする立場でしたが、今年は1年生をリードする立場になり、上手に話を引き出すことができていました。生徒たちの成長を感じました」と、プログラムを通して、生徒の対人基礎力が向上している実感を語った。
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取材協力:桐蔭学園中等教育学校
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