先の予測が難しいこれからの時代を生きていく今の子どもたちに、私立中高一貫校ではどんな教育が行われているのかを取材。そのユニークな取り組みをコラム連載で紹介する。
グローバルな探究授業で生徒が各国の大使に!? ②-前編
中高一貫校の生徒が一年をかけて取り組む探究授業「15歳のグローバルチャレンジ」。生徒が各国の大使になりきり、学年末に行われる模擬国連会議に臨む様子をレポートする。
今回の授業は、担当国の魅力をPRするプレゼンテーション。このプログラムの第一の山場ともいえる取り組みだ。
カナダ大使の3人は、移民政策やLGBTQ(性的マイノリティーの総称)政策に焦点を当て、カナダを「多様性の国」と捉えたプレゼンテーションを行った。カナダといえば広大な自然に注目が集まることが多いなか、大使たちに「多様性」に着目した理由を聞くと、「自国で一番誇りに思えることで、他国にないものという視点から考えたときに『多様性』というキーワードに行き着きました」とのこと。グローバルな視点から担当国の魅力発掘に挑む姿勢が伺える。
コートジボワール大使たちは「カカオに感謝!カカオ大国」というキャッチコピーを掲げ、カカオの生産量が世界一かつ高品質である点をアピールした。また、外国の企業を誘致して経済成長を促し、西アフリカ地域で最も豊かな国であることも強調。さらに西アフリカ最大の「コモエ国立公園」についても説明し、自然の豊かさという魅力も伝えた。
どの国の大使も自国の魅力を堂々とアピールしていた点が印象的だった。同校が教育の中心に据える“アクティブラーニング型授業”で、生徒たちはグループワークや発表など自分の意見を述べる経験をこれまでにも多く積んできたそうだ。今回の発表ではそれらの経験が存分に生かされていた。また、同校がもう一つ重要視しているのが、発表を聞く側の姿勢だ。発表後の温かい拍手を含め、「傾聴と承認」の文化が生徒たちにしっかりと根を張っていることが伝わってきた。
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取材協力:桐蔭学園中等教育学校
横浜市青葉区鉄町1614
TEL 045-971-1411(代表)
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